第83話 社員が自ら働き出すためには?

 「今の管理体制ではできない」

 ある建設会社で、1か月毎の利益を工事の進捗状況に応じて把握できるかを尋ねたところ、ご担当の方から冒頭の発言がありました。

 これでは、社員の成長を確認することができません。社員の仕事ぶりによって、利益が出たのか、そうでないかをはっきりさせなければいけません。

 社員に利益の配分を約束することが、会社の業績アップにつながるのです。自ら働いて出た利益の内、会社が約束した分は各社員の給料に跳ね返ってくるのです。

 社員が、自らの可処分所得を増やすには、会社に利益を残すことが必要になります。そのことを社員自身が理解すれば、会社に利益を残すためには、どのようにしたら良いのかを自ずと考えることになります。考えることで、仕事を工夫するようになります。

 また、足を引っ張る社員を助けて、結果を出そうと取り組むようになります。あるいは、会社にとって弱い部分を見つけられるかもしれません。例えば、給与計算などの利益を生まない仕事を検証し、外注することで、その仕事に携わっていた社員を効率的に活用し、その結果、利益が出せるようになることもあるでしょう。

 なので、毎月、利益がどのくらい出ているのか、あるいは出ていないのかを把握することが大事なのです。

 利益が出ている方法があれば、それを社員全員で共有します。出ていなければ、それこそスグに手を打たなけば最終的に利益を圧迫してしまうでしょう。

 社長からすれば、毎年、必ず利益を出したいと思うでしょう。この思惑は、社員ががんばった分、自分の給料が増えることと合致するのではないでしょうか。

 確かに、建設会社ですから、期末の完成工事高によらなければ、利益は確定しないでしょう。しかし、利益の配分を期首に約束し、毎月どのくらいたまったのかを社員にオープンにすることが大事です。

 そうでなければ、儲けても、それは「社長の取り分が増えるだけ」と思われても仕方ないのです。あるいは、期末に「利益が出なかった」を知るのでは遅いのです。

 したがって、毎月、利益が出ているかどうかを知っておく必要があるのです。例えば、実行予算に照らして、利益が落ちていることを把握することで、それを挽回する手立てを社員が考えるようになります。利益を把握する工夫をしましょう。

 社員は何のために、あなたの会社に入社したのでしょうか?仕事を通して自分を成長させたいから、なのではないでしょうか。

 利益の配分を約束することで、社員が自ら働き出す仕組みができるのです。

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