第25話 辞める時のルールとは?

 「今月いっぱいで辞めたいんですけど…」

 突然、社員から、このように言われたら困ってしまいますよね。繁忙期だったり、限られた人数でやっていたりするとなおさらです。しかし、退職を拒むことはできません。

 社員から辞めるという場合、一定期間が過ぎると労働契約は消滅します。つまり、社員は辞めることができます。この場合、給与がどのような単位で決まっているかによって、大きく二つのパターンがあります。

 まず、パートタイマーなどの時給者や日給者で、契約期間の定めのない人たちです。この場合は「辞めます」と言ってから2週間を過ぎると辞めることができます。

 次に、正社員などの月給者で、契約期間の定めのない人たちです。この人たちは、給与計算期間中、いつの時点で「辞めます」と言ったかで変わってきます。給与計算期間の前半に言うと、その期間の最後の日に辞めることができます。例えば、15日締めの会社なら、7月20日に意思表示すれば8月15日が退職日となります。後半に言った場合は、次の計算期間の終了日が退職日となります。例えば、8月10日に意思表示すれば9月15日で辞めることができます。

 ただし、例えば、就業規則で30日前までに意思表示をするように書いてある場合は、違ってきます。この場合、法律か就業規則か、どちらか社員に有利な方が適用されることになります。つまり、早く辞められる方ですね。ここで注意すべきは、就業規則に14日前までに意思表示をするように書いてある場合です。こうなると、常に就業規則の規定が適用されることになります。

 なお、契約で期間が定められている人は、また扱いが違います。原則として契約期間が終わるまでは辞めることができません。逆に言えば、社員は、会社から「辞めろ」と言われても契約期間の終了までは雇用が保障されているということになります。

 このことから、例えば、専門性の高い人は期間契約にするという選択もあります。このような人たちは、労働契約の期間を最長5年取ることができます。すると、理論上は5年の契約を結べば、社員は、その間、会社にとどまる外なくなります。とはいえ、会社としては柔軟な対応をした方が良い場合もあります。

 まとめると、契約の仕方に応じて、二種類あることがわかります。一つ目が自由に申し出て一定期間を過ぎると辞められる、期間の定めのない人たち。二つ目が期間に縛られる、期間契約者の人たち。

 どのような契約形態を選ぶと、どのような終わり方をするのか押えておくこと。その上で、話し合いを持てるようにしておくのが理想です。

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