第10話 指示待ち社員がヤル気を出すには?
「指示しないとやってくれない…」
いわゆる指示待ち社員に対し、苦々しく思っている方は多いのではないでしょうか。確かに、ゆとり世代の特徴だからでしょうか、指示がないと動かない社員が増えたように感じます。しかし、逆の見方をすれば、指示がなくてもできるくらいに仕事の内容を理解していないのではないでしょうか。
仕事に限らず、物事の理解を深めるうえで、能動的な努力は欠かせません。つまり、自ら努力する必要があるということです。例えば、学習するにしても受動的な態度で漠然とやっていては、なかなか身につきません。そんなご経験はないでしょうか。
私は、高校と大学で、それぞれ異なる指導者の下、ラグビー部に在籍していました。指導者が異なれば、指導方法も変わるのは当然なのですが、両者の指導方法は月と太陽くらいの違いがありました。高校は、指導者の先生の存在自体が恐ろしく「やらないとひどい目に遭う」という恐怖心から練習が一種の義務にすら思えたものです。自然と先生から言われたことを中心にこなすだけ、という”やらされラグビー”だったわけです。何のためにする練習なのか、その意味がわからず、フラストレーションがたまることもしばしばでした。
他方、大学では、もちろん型にはまった練習もありましたが、部員が主体性を持っていました。ゲームに出るためには限られたポジションを自分から積極的に奪いに行かなければなりません。それにはヤル気と努力が要ります。
能動的な努力ができるかどうかは、高校生と大学生の違いではないかと思われる向きもあるでしょう。でも、一概には言えません。高校生でも自ら進んで努力をする人はいますし、大学生でも漠然とやっている人はいるものです。ヤンキースのイチローも名電高時代、深夜の素振りを続けるなど、その頃からプロ野球選手になるための努力を惜しまなかったといいます。
スポーツでも仕事でも、ただ漠然と量をこなすだけでは身につかないものです。個人の能動的努力が求められます。そこで、社員が自ら努力するように仕向ける方法の一つは、会社の評価基準を知らしめることです。言い換えれば、会社からどのように評価を受けるのかをオープンにするということです。ものさしがあれば、「どんな努力を」「どの程度」「どのくらいの時間」しなければならないかが明確になります。指示待ち社員も理解し、納得できる評価基準であれば、彼らの行動につなげていくことができるようになるのです。