第84話 期待成果を示す理由とは?

 「あいつはダメだ」

 社長に詳しくお尋ねすると、社員のパフォーマンスが良くないとのことでした。

 具体的には、なんだかんだと言い訳をして、仕事をサボることが常態化しているのだそうです。例えば、通常は一人で10できる仕事を、手を抜いて8しかやりません。

 そこで、注意すると、「誰々が話しかけてきたのでできなかった」「同僚の代わりに電話の対応をしていてできなかった」などとできない理由を並べ立てるのだそう。これでは、「あいつはダメだ」と嘆く気持ちも分からないでもありません。

 でも、ちょっと待ってください。

 その社員は、何をしたら良いのか、どのような仕事をすると会社から認められるのかを理解していない可能性があります。つまり、会社が「どのような成果を期待しているのか」を明らかにしなかったことが、社員のパフォーマンスを落とす一因になっていることが考えられます。

 まずは、会社として、職種毎の期待成果を開示することが重要です。

 例えば、1時間に1.5の仕事ができれば8時間で12の仕事ができることになります。すると、通常が10なのですから、余分に2できるようになったわけです。このように、期待成果は数字で表せる指標にすべきです。そうすることで、先の例なら、どうすれば効率よく余分に2できるかを社員が考えるようになります。

 考えて、実行すれば結果は数字で明らかになります。目指す指標に届かなかった場合でも、結果に至るプロセスを検証することが大事です。逆に言えば、上司はプロセスを見て評価すべきです。

 結果が良かったというのは、プロセスも良かったハズです。逆に、結果が悪かったというのは、プロセスも悪かったのでしょう。結果とプロセスの因果関係に着目して、社員の評価をしてみましょう。

 プロセスを見るというのは、全体を見ることです。社員も、結果を褒められるより、プロセスを褒められる方が、一層うれしさを感じることでしょう。なぜなら、プロセスは細部まで見ないと褒めることができないからです。

 「ここまで見てくれていたんだ」。

 このように思わせられることができれば、社員は会社の期待に応えようします。つまり、社員の仕事への取り組む姿勢が変わるのです。社員に数字を意識させることが大事です。その数字を示すのは、経営者の仕事です。

 あなたは、社員に期待成果として、数字を示していますか?

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