第8話 やりがいを見いだす方法とは?

 「今どきの若いモンは…」

 とは常套句ですが、以前、ご相談いただいた製造業の社長、開口一番がこれでした。昔は、皆、仕事が終わってから会社に残って溶接や曲げの技術などの腕を磨いたそうです。社長の若い頃は、それこそ帰ろうとしている先輩を半ば無理やり引き留めて教えてもらったそうです。そのくらい熱意があった。それにひきかえ、「今どきの若いモンは何を考えているのかわからん」というわけです。

 これで技術の継承ができるのだろうか。試に、終業後に技術の勉強会をしようと呼びかけてみたものの、当の若いモンはあまり乗り気ではなかったようです。無理やりやらせたとしても身につきません。やがて、この勉強会は有名無実となってしまいました。ジェネレーションギャップでしょうか、社長は、ますます若いモンをどのように使ったらいいのかわからなくなってしまいました。

 社長が社員の使い方をわからないと同様に、社員もまた、「どうすれば評価されるのか」「どうすれば給与が上がるのか」「どうすれば昇進できるのか」をわかっていないことは多いのです。そこで提案したのが評価制度。狙いは、自分の仕事にやりがいを見いだせるように仕向けることです。

 人を仕事に駆り立てる直接の要因には、「達成」「承認」「仕事そのもの」「責任」「成長」などがあります。これらを満たすことでモチベーションが上がる人は多いのではないでしょうか。これが、ハーズバーグの唱えた二要因理論のうちの「動機づけ因子」と呼ばれるものです。

 例えば、仕事を「達成」するためには、当然のことながら仕事をよく理解することが必要です。「何を」「どういう手順で」「どこが難しいのか」「何に注意を払うのか」「顧客はどんな気持ちか」等、仕事の性質が具体的にわかっていないといけません。そこで、仕事を分析することが求められます。分析とは、つまり「その仕事の内容は何か」「優れた社員になるにはどのような知識、経験、能力、責任が求められるか」「他の仕事とどこが違うのか」を明らかにすることです。これらが明確に定まっている会社なら、社員が自らの仕事にやりがいを見いだすことは難しくありません。

 ご相談のあった会社は、評価制度を導入してからというもの、若いモンが嬉々として仕事に取り組むようになりました。それでも相変わらず居残りはしないのですが、それもこの世代の特徴なのかもしれません。とはいえ、彼ら若いモンが数十年経てば「今どきの若いモンは…」が繰り返されることになるのでしょう。

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