第81話 タイミングだ重要なわけとは?

 「私の実力なら、もっと昇給してもいいはずだ」

 昇給を伝える面接の時に、社員からこのように告げられた社長がいらっしゃいます。社長は、非常に憤ってみえました。

 この社員は、パートタイマーの中でも優秀な部類に入ります。だから、自分が中心となって仕事が回っているという自負もあったのでしょう。

 しかも、やっている仕事は、正社員とほぼ同じです。家庭の事情などで、単に勤務時間が短いという感じです。ただし、クレーム処理など矢面に立つような仕事やマネジメントはしていません。

 このように、社長と社員、双方の考え方に隔たりがあると、その後の仕事に支障が出てしまいます。この場合、どのようにすれば回避できたのでしょうか?

 重要なのは、仕事ができること、あるいはできるようになったことと昇給とは別の話だということです。つまり、切り離さなければいけません。

 なので、社長は、昇給時に金額の話しかしないようにします。例えば、「この数か月間で○○や△△の仕事ができるようになったね」と褒めておいて、昇給が数十円とかだったとしましょう。社員からすれば、「何なんだ」となってしまいます。

 あるいは、褒めるだけ褒めて「今回は昇給ありません」と言われたらどうでしょう。パートタイマーなので、一気にモチベーションが下がってしまいます。これでは、うまくありませんね。

 したがって、褒めることと、昇給のことは、話す時を変えなければなりません。要するに、話すタイミングを間違ってはいけないということです。

 たとえパートタイマーであっても、会社の業績に連動して昇給しなければなりません。そのように考えると、会社の業績、仕事の進捗度合い等を勘案した結果の昇給であることをビジネスライクに伝えることが大事です。

 加えて、いくら優秀なパートタイマーであっても、無尽蔵に昇給できるわけではありませんから昇給の上限も決めておく必要があります。

 そして、どんな仕事ができるようになると上限に近づけるかも開示しておく必要があります。そうでないと、社員は、どのようにスキルアップしたら良いのか分かりません。

 だから、仕事の中身を可視化することが大事なのです。可視化して行動しやすくし、結果がでれば、それを褒める。その結果、社員がスキルアップし、会社の業績が向上するという善循環ができるのです。

 あなたは、社員を褒めることと、昇給のことを話すタイミングを間違ってしまって、社員のやる気を削いでいませんか?褒めることと昇給は、別の話だと割り切ってみましょう。

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