第78話 マネジメントするとは?

 「会社から一歩外に出たら何をしているのか分からない」

 営業マンに関しては、とかくこのような認識をお持ちの経営者が多いものです。あるいは、「営業マンにすべて任せてある」とおっしゃる方もいらっしゃいます。裏返せば、全く管理できていないと言っているのと同じことです。

 これでは、営業マンに対して、指導や助言をすることはできません。当然、労働時間を管理することなどできるはずがありません。

 労働時間を管理しないことの弊害は、いくつもありますが、会社へのリスクが最も高いのが未払残業代の問題です。賃金の時効は2年ですから、問題が発生しているとすればその期間は遡及される可能性があります。

 また、未払賃金を裁判所で争うことになれば、付加金の問題も発生してきます。付加金とは、未払賃金のほかに、裁判所がこれと同一額の支払いを命ずることができる、一種のペナルティです。

 例えば、200万円の未払賃金であれば、付加金も200万円請求できることになりますから、会社は大きなダメージを受けることになります。こうしたトラブルが起こると、経営者の仕事が止まってしてしまいますから、経営に及ぼす影響はかなり大きくなるのが現実です。

 実際に、決算3か月前に起こったトラブルにより、経常利益が3%以上、下がってしまった会社がありました。このような事態を避けるためにも、仕事を管理することは重要なのです。

 例えば、営業マンが、どのような1日を過ごしているのかを知らなければなりません。A社に何時に行って、何をして、何時にB社に移動したという記録を分析するのです。

 すると、どのような活動をすると、お客様から仕事をいただけるのかが分かるようになります。営業マンの中には、売上を多く上げている人もいるでしょう。

 その売上は、営業プロセスが良いという理由なのか、あるいはお客様が良いという理由なのかを知ることから始めます。仮に、営業プロセスが良いという理由で売上を伸ばしているなら、その人のやり方を営業マン全員で共有します。これだけでも売上アップにつながります。

 営業マンの仕事を管理することで、経営者が営業マンの活動をコントロールできるようになります。すると、時間外で会社に残っている営業マンに対して、「早く帰りなさい」としか言えなかった経営者の発言が変わります。「この仕事は、明日でいい」とか、「この仕事は、しなくていい」と言えるようになるのです。

 営業マンが何をするべきか、分かっているからこそできることなのです。

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