第77話 なぜ、人事制度は止まってしまうのか?
「人事制度の運用が止まってしまう」
人事制度を導入した会社から、このようなご相談をよく受けます。
なぜ、膨大な時間と経費を使って作った人事制度が使えなくなってしまうのでしょうか。一つには、人事制度を導入してもスグに業績が上がらないことがあります。要するに、時間ばかり掛かって成果がでないということです。
これは人事制度が、仕事をするための基本姿勢、例えば、執務態度をまず身に付けることからスタートすることによります。つまり、成果よりも、制度ありきの考え方が成果を阻害しているのです。
ここに気づかなければ、どんな立派な人事制度を作っても運用はできないでしょう。
逆に言えば、成果に注目するということになります。成果とは何かを定義づけることから始めます。言い換えれば、会社がどのような成果を期待するのかを明確にするのです。
そして、何をすれば成果が上がるのかを突き止める必要があります。これが特定できれば、成果を出せるようになります。つまり、因果関係をはっきりさせるということです。
因果関係というのは、例えば、健康診断の結果がメタボだった人は、自分が食べ過ぎたことが原因で太ったというように、結果と原因につながりがあることを言います。
その他、運用が止まってしまう理由として、コンサルタントが作った人事制度の場合が考えられます。つまり、会社に合っていない人事制度を導入してしまう場合です。
会社に合った人事制度というのは、既に会社に存在しているのです。でなければ、とっくにその会社は潰れていることでしょう。
このことを無視して、コンサルタントが薦める人事制度が上手く運用できるハズがありません。ところが、上手く運用できないのは、会社がその制度に合わせられなかったと思いがちです。
そうではありません。アプローチが間違っているのです。
コンサルタントが押し付けた人事制度や、他の会社を真似て作った人事制度は、その会社に合うハズがないのです。人事制度を長く運用するには、成果から考えて、どのような行動を取るべきか徹底的に洗い出すことから始めましょう。
そして、その行動が取れるように、能力を磨いていくことが必要です。つまり、人事制度は、「成果」から逆張りで考えて作ることで、業績を上げることができるようになります。
作る順番を間違えると使えない人事制度だけが残ることになってしまいます。