第76話 なぜ人事制度が必要なのか?

 「中途採用で入ってきた人が、決められたやり方を守ってくれない」

 このような話は、よくあります。

 仕事に慣れた頃から、自分のやり方を押し通そうとする人がいます。例えば、「前の会社では、そのようなことは言われなかった」と主張して我流を通すといったことです。

 このようなことが積み重なると、職場の規律が保てなくなってしまいます。また、同じような社員が、何人も出てくると収拾がつかなくなるでしょう。

 これを回避するためには、採用時に能力や執務態度などの基準をきちんと説明することです。採用面接では、誰しも入社したい一心で、過大な申告をすることがあります。決して嘘をついている訳ではありませんが、会社が期待する内容とかい離していることがままあります。

 悪いことに、その話を基準に賃金を決めてしまったりします。当然、能力と賃金とのかい離が大きければ大きいほど会社の損失は増大します。これでは、人を入れた意味がありませんよね。

 そこで、人事制度が重要になるのです。

 中途採用の場合は、本人の申告に合わせた賃金設定を仮評価とし、実際の働き方をみて再評価できるようします。再評価したら、その内容を社員にフィードバックしてください。

 社員は、会社の期待と本人のパフォーマンンスにどのような差異があるかを知ることができます。改善点が明確になれば、努力のしがいもあるというものです。

 例えば、再評価の結果、賃金が下がったとしても、次以降の評価で取り戻すことは可能なのです。これには、職種毎、階層毎に、例えば、どのような知識や能力が必要か、どのような考え方が必要か、対人関係はどうあるべきかなどが決められていないといけません。

 いわば、会社で認めらるためには、どのように行動して良いかが分かるようになっていなければなりません。

 我々は、誰かに認められたいという承認欲求を持っています。承認欲求を満たすには、結果だけでなく、プロセスもきちんと見る必要があります。

 なぜなら、プロセスまで見ないと適切なフィードバックはできないからです。言い換えれば、結果よりもプロセスを評価された方が、社員としては「そこまで見てくれたのか」とうれしく感じるのです。

 評価とフィードバックを行う時期は、なるべく短い間隔で行うのが良いでしょう。できれば、1年に4回行うのが望ましいかたちです。

 人事制度を正しく活用すれば、生産性は上がります。ぜひ、取り組んでみてください。

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
03-3554-3666

受付時間:9:00~17:00
定休日:土日祝祭日