第75話:なぜ公開することが必要なのか?

 「あまり教えたくない」

 社員の処遇に関して、このようなお考えの経営者は少なくないのではないでしょうか。つまり、多くの会社で、賃金や賞与の仕組みは社員に発表されていないのです。

 これでは、結果的に会社が損をしてしまいます。なぜなら、社員は自分がどのように行動すれば評価が上がって、結果的に賃金や賞与が上がるのか分からないからです。

 要するに、会社の求めていることが分からないのです。このような状態で、成果を上げろという方が無理なのです。

 もちろん、上司から「ああしろ」「こうしろ」とは言われるでしょう。しかし、その通りに行動したとしても賃金や賞与に反映されなければ、やる気は失せてしまいます。

 入社した時に社長から「期待しているよ」と声を掛けられたとしても、どのように行動すれば良いか分からなければ魔法はいっぺんに解けてしまうでしょう。これでは、会社の業績を上げることはできません。したがって、社員の処遇は、ガラス張りにすべきです。

 会社は、社員にどのような行動を期待し、どのような処遇をするのかを明確にしておくことが必要です。冒頭の「あまり教えたくない」という経営者の言葉の裏には、社員に対して上手く説明できないというジレンマもあるでしょう。

 であれば、説明できるように、評価の仕組みを作ることです。社員の賃金や賞与は、評価に連動していることを教えるのです。

 つまり、賃金や賞与が何に対して支払われるかを明確にしておくのです。これにより、社員はどのような行動を会社が求めているか知ることになります。

 特に若手の社員には、自分の賃金や賞与がどのように上がっていくのか、道筋を見せることが大事です。彼らが、会社の歴史を創っていくのです。

 いつまでも上がらない賃金、どうすれば増えるのか分からない賞与。これでは、惰性で働くことを助長しているだけです。

 働くことの対価である賃金や賞与を増やす術を知ることは、社員が生活設計をするうえでも大切なことなのです。社員は、まさに賃金や賞与で生活をしていかなければなりません。

 社員は、賃金や賞与に大きな関心を寄せているのです。がんばる者がバカを見ない仕組みづくりが必要です。

 その仕組みを公開することで、業績を向上させる礎ができるのです。

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