第68話 自動車事故を未然に防ぐ方法とは?
「自動車を運転中に意識を失って事故を起こした」
仕事中に事故が起きると、会社も損害賠償責任が求められることがあります。
以前、栃木県で、大型特殊自動車を運転中に、てんかんの発作で意識を失って小学生を死亡させた事件がありました。運転していた社員は、以前から発作による人身事故や物損事故を何度か起こしていました。なので、医師から運転を禁止されていたといいます。
加えて、服用すべき薬を飲み忘れたことなどが重なって不幸な事故が起きてしまいました。当然、会社の損害賠償責任が認められています。
会社は、てんかんの症状があることを知っていれば、回避できたかもしれません。ところが、社員が嘘をついて、てんかんの症状があることを隠していたとしたらどうでしょう。
会社は、知る由もありません。
それでも、社員に自動車を運転させる行為で利益を得ていたと解されますから、損害賠償責任は免れません。会社の立場からすれば、嘘をつかれて事実を知らないのに酷ですよね。このことから、会社には重い責任があることが分かります。
当然、事故が起きてしまってからでは、会社の責任を回避することができません。逆に言えば、仕事で自動車を運転させる社員は、事故を起こさない人にすべきです。したがって、仕事や通勤で自動車を運転する社員については、事故を起こすであろう人の運転を承認しないことが重要になります。
では、どうやって事故を起こす人を見極めるのでしょうか。例えば、過去5年間の事故歴を調べる方法があります。
事故歴のうち、スピード違反や信号無視など、重大な事故につながるものが複数回ある場合は承認しないという基準を作っておくと良いでしょう。ただし、事故歴は、警察からの情報ですから、違反しても捕まらない場合もあるということは知っておいてください。
また、自動車を運転するかしないかにかかわらず、病歴を把握しておくことが大事です。例えば、既往症はあるか、服用している薬はあるか、あればその種類と服用回数などを本人から聞いておくことです。ただし、採用の場面では、応募者は就職することを目的としていますから、事実を隠してしまうこともあります。
前述したように、事実を知らなくても事故が起きれば、会社の責任は回避できません。つまり、体調を聞いたり、免許証の確認したりするなど、日ごろのコミュニケーションが事故防止に重要な役割を果たします。