第67話 どのようなメッセージを伝えるべきか?

 「何を教えて良いのか分からない」

 他の社員が、優秀な社員に成果を上げている方法を尋ねると、大抵このような答えが返ってきます。

 成果が上がる方法を教えてしまうと、出し抜かれてしまうかもしれません。それが理由で教えたがらないということは、当然あるでしょう。

 一方で、はっきりした理由が自分では分からないという場合も少なくないようです。例えば、自分では意識しているつもりでなくても何となくできてしまうという経験は誰にでもあるのではないでしょうか。

 あるディーラーでトップセールスになった方がいらっしゃいます。その方も、周りの社員から「どうしたらトップセールスになれるか」を尋ねられたそうです。最初は、自分でもお客さまから指示される理由がよく分からなかったそうです。

 よくよく掘り下げてみると、「自分ならこうして欲しい」と思うことをお客さまにしていたことが分かったそうです。そのことを確認するために、他の社員のセールストークを聞いてみると、明らかに違いがあったそうです。

 例えば、オーディオを選ぶ時にも、他の社員は自分が売りたいものを勧めていました。ところが、トップセールスの方は、普段、お客さまがどのような音楽の楽しみ方をされているのかを聴いて、それに適したものを勧めていたそうです。自分なら、普段聴いている音楽を車内でも楽しみたいと思ったからだそうです。

 この方は、「自分がして欲しい」ことを突き詰めた結果、他の社員との差別化ができました。このことに気づいてから、さらに売り方に磨きがかかったそうです。

 やはり、自分で自分のことは、よくわからないようですね。しかし、残念なことに、自分がトップセールスになってしまうと、周りに教えを乞う人もいなくなり、同時に尊敬できる人もいなくなってしまったそうです。

 その結果、転職という道を選ばれました。これは、会社にとって大変な痛手です。稼ぎ頭である優秀な社員の穴を、埋めるのに相当な時間を要するのではないでしょうか。

 ここで問題なのは、働き続けることの意味を見いだせなくなったからに他なりません。では、どうすれば、会社に残って、売上を伸ばしてくれたのでしょうか。

 一つの方法として、自らの売上を最大限に上げるのがゴールではないというメッセージを伝えておくことが大切です。つまり、トップセールスになるのが、目指すゴールではないことを理解させるのです。

 例えば、伸び悩んでいる社員に対して、うまく行ったやり方を教えて成果を上げさせることで最大の評価をします。このようにすれば、教えずに自分だけが成果を上げるということもなくなります。

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