第65話 会社が取るべき態度とは?
「嘘をつかれたら、どうする」
採用面接の場面で、よく問題になることです。面接する側としたら、嘘を見極めたいという心理が働くのでしょう。でも、面接の場で、すぐに分かるような嘘をつくほど間抜けな人がいるでしょうか。
嘘も、しっかりした論理構成になっていたり、話の内容に一貫性があれば、信じてしまいます。面接の場では、少なくとも「入社したい」と思って臨んでいるわけですから、すぐにバレる嘘ならつかない方がましでしょう。その場で分かる嘘なら、合否の判定に使えますから問題ありません。
問題になるのは、つかれた嘘によって、将来、トラブルが起きるなど会社のリスクが高まることです。そうなると、なんとか採用面接のときに見抜けないかと思うものです。その方が効率が良いですからね。
確かに、顔の表情や声の発し方などから嘘が分かることもあります。しかし、それを分かるようになるには、かなりの時間が掛かります。経営者に、そのような時間的なゆとりがあるでしょうか。それよりも、経営者として他にやるべきことがあるのではないでしょうか。
とすると、嘘は見抜けないものと、あきらめなければいけないのでしょうか。そうではありません。
前述したように、嘘はその場で分かることが少ないものです。そこで、後々、嘘が露見した場合に、会社が有利なスタンスを取れるようにしておくべきです。
それには、面接で本人にしっかり聞くことが大事です。例えば、履歴書には退職理由が「一身上の都合」と書かれているものが多いですよね。この場合にも、きちんと理由を聞いておくべきです。
聞かなければ、嘘は出てきません。書いてあるものを、そのままスルーしてはいけません。嘘は、言葉として発せられるのです。
個人情報保護法もあり、健康問題など立ち入ったことは聞きにくいからと遠慮する必要はないのです。業務に必要であれば、当然、聞いても良いのです。ただし、本人に直接聞くということが大切です。
そして、「なぜ、聞くのですか」と問われたときに、業務を遂行するうえで聞かなければならない理由を明確に示すことができるようにしてください。こうすることで、後々、嘘が発覚したときには、身元保証人を交えた話し合いの場で、会社が有利なポジションを取ることができるようになります。
嘘をつかれることが、悪いというわけではないのです。