第63話 いい人を採るためには?

 「いい人を採りたい」

 このような思いは、すべての経営者に共通のものです。ところが、「いい人」かどうかは一緒に働いてみないと分からないものです。

 採用の時点でよく、「いい人を見極める方法を教えて欲しい」とのご要望をいただきます。しかし、採用の段階で、「いい人」かどうかを判断することは至難の業です。

 その時点で揃う情報というのは、履歴書、職歴書、面接などによる本人の申告くらいです。それだけでは、到底、判断できるものではありません。

 人間は、多面的でもあります。例えば、ご自身の配偶者やお子さんなど、長い間、一緒に暮らしている人たちであっても、新たな一面を発見して驚くことがあります。

 つまり、分かっているようで、分かっていないのです。言い換えれば、限られた情報の中で、人の見えない部分を知るということは難しいのです。

 求職者は、自分が値踏みされることを十分承知していますので、何とか面接を上手く切り抜けたいと思っていることでしょう。中には、顔の表情や、発する言葉から、何を考えているのか分かるという方がいらっしゃいます。たぶん、間違っていませんが、見極める技術を取得するのに多くの時間を割かなければならないでしょう。

 経営者に、そのような時間的余裕があるとは考えにくいものです。

 では、採用する側として、手の施しようがないのでしょうか。

 視点を変えることです。つまり、「いい人」ではなく、会社に「入れてはいけない人」に着目するのです。会社に入れてはいけない人とは、後々、解雇トラブルなど、甚大なトラブルを引き起こす人のことです。

 ポイントは、3つあります。一つ目は健康で働けること、二つ目は能力があること、三つ目はまじめに働けること、です。

 まず、健康でなければ、十分な成果を期待することはできません。採用においては、健康な人を雇うことが最大のポイントになります。したがって、病歴に注目します。

 次に、仕事をこなすための能力を見極めなければなりません。そこで、職歴に注目します。

 最後に、長く働いてもらう前提に立てば、まじめに働けるかどうかは特に重要になります。経営者としては、勤務態度が悪い人を役職者にしようとは考えていないハズです。なので、退職理由に注目します。

 このことから、面接時には「病歴」「職歴」「退職理由」を直接、求職者から聞くことです。会社として、仕事をしてもらううえで必要なことは直接、聞くべきです。

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