第61話 不正の芽を摘むためにすべきこととは?
「覚せい剤所持でASKA容疑者を逮捕」
連日、このニュースで持ち切りです。人気デュオの不正にショックを受けた方も多いのではないでしょうか。報道によると、最初はかたくなに否認しているとのことでしたが、最近になって一転して容疑を認める供述を始めたようです。
今回の逮捕に至るまでに、週刊誌に覚せい剤使用の疑惑が報じられていました。それが、約1年前。
仮に、覚せい剤を使用していたとしても、逮捕されるまでに使用を「止める」という選択肢もあったはずです。実際には、それができず、常習性を示す証拠が出ています。
このような許しがたい不正は、会社の中でも起こる可能性があります。例えば、横領がそうです。
横領しようとする人の立場で考えてみましょう。
まず、なぜ横領しないといけないのか、多くの場合、他人に打ち明けられない悩みが原因のことが多いと考えられます。例えば、サラ金で借金をしているのを誰かに知られたくないから不正をしてでもお金が欲しいという状況です。
次に、横領してもバレないだろうと思ってしまうことが考えられます。例えば、会社の金銭出納は自分が管理しているので、うまくやればバレることはないという考えです。
最後に、横領は悪いことだけれども、この程度なら許されるだろうとの認識です。例えば、次の給与をもらったら返せるから、会社の金を一時的に借りるだけという言い訳です。
この三つが、いわゆる「不正のトライアングル」という仮説です。説明した順に、「プレッシャー」「機会」「正当化」となります。これらの内で、会社が最もコントロールしやすいのが「機会」を奪うことです。
つまり、「誰もチェックしないからバレないだろう」という気が起きないようにするのです。例えば、金銭出納の業務を一人で完結しないような仕組みにすることが考えられます。
ASKA容疑者も、周りが口を割らなければバレないと思ったのかもしれません。家族なら大丈夫だと考えたのかもしれません。見かねた奥さんからの通報があったとされる報道もありました。
もう一つ、大事なことがあります。それは、不正が必ずバレるものだと普段から教育することです。不正が発覚した後は、会社での未来が閉ざされてしまいます。
それは、社員の成長の芽を摘んでしまうことに他なりません。会社にとっても、社員にとっても大きな損失です。
大事な社員が犯罪に手を染めることがないようにしたいものです。