第60話 社員は上司に何を求めるのか?

 「理想の上司は半沢直樹」

 これは、産業能率大学が毎年発表している新入社員に聞いた理想の上司です。

 今年は、テレビドラマで主役を演じた堺雅人さんが、男性上司の1位でした。女性上司は、天海祐希さんで5年連続の1位です。この理想の上司像の移り変わりを追いかけた記事を見つけました。 http://goo.gl/O6bK1M

 それによると、経済情勢や世相に応じて、男性・女性ともそれぞれ3タイプに分かれるそうです。例えば、男性上司の場合で見てみましょう。

 ①就職氷河期は「低迷する組織を再生するリーダーシップ」があるタイプ、②いざなみ景気末期は「親近感」があるタイプ、③先行きが不透明になると「組織に依存しないスキルと自信」があるタイプ。

 ①は、野村克也さん、星野仙一さん、古田敦也さん、北野武さんで、いずれも組織を改革する手腕に長けた人たちでした。②は所ジョージさん、③はイチローさん、池上彰さん、橋下徹さん、そして堺雅人さんと続きます。

 ①のタイプの人たちは、厳しく指導して部下を伸ばすという印象がありますね。厳しい経済状況も相まって、厳しさや毒舌のキャラを求めたのでしょう。

 ところが、②は楽しく仕事をさせてくれそうなタイプですし、③は組織に依存せずに結果を出すタイプですから”あこがれ”の対象です。今の時代は③の延長と言えますが、同じ厳しい時代でも①とは理想の上司像が違っていて面白いですね。

 理想の上司像というのは、言い換えれば、彼らに仕事ぶりを「褒めてもらいたい」「しかってもらいたい」ことの表れです。つまり、理想の上司に自分を認めてもらいたいと思っているということです。

 これは、裏を返せば、現在の上司に「認められたい」という願望なのではないでしょうか。しかし、認めてもらっていないという現実があります。

 このような願望が満たされず、放っておかれると不満が募ります。不満がたまった状態で退職を迎えると、トラブルに発展する可能性が高くなってしまいます。

 「褒める」のも「叱る」のも上司の評価です。評価をするためには、仕事を目に見えるかたちにしなければなりません。どのようなときに、どのような評価をするか。それをオープンにして腹落ちした時に、社員の行動が変わります。

 「やらされている」退屈な仕事から、やりがいのある仕事へ。社員が自ら働き出す素地ができるのです。

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