第55話 チャンスの与え方とは?
「ああ、もうダメだ…」
例えば、野球で9回裏ツーアウト、ランナーなしの場面、これで終わりかと目を伏せた瞬間、ホームランで逆転という場面を目の当たりにされたことがあるのではないでしょうか。
贔屓のチームが逆転で勝利を掴んだ時、順風満帆な試合運びで勝つよりも胸のすく思いがしますよね。諦めなければ逆転はある。だから、面白いですよね。
仮に逆転がなければ、負けたら負けっぱなしになってしまいます。これでは、救われませんね。
人は、誰もが失敗するものです。例えば、スポーツは、最初から失敗することを前提にしていますよね。誰かがミスをしたら、いかにカバーするかが行動原理としてあります。
仕事も、協働するということでは同じではないでしょうか。社員も、一度や二度の失敗にめげている場合ではありません。
また、会社としても、数回の失敗で突き放してしまうというのはいただけません。なぜなら、会社には教育訂正機能があるからです。つまり、失敗を挽回するチャンスを与えなければなりません。
ただし、何度も同じ過ちを繰り返すとなると、他の社員への影響も考慮する必要があるでしょう。影響が深刻な場合、会社としては契約の解消も視野に入れなければなりません。
ところが、ローパフォーマーであったとしても、解雇は難しいのです。やはり、改善チャンスを与える必要があるのです。したがって、仕事を取り上げたり、窓際へ追いやったりするのはご法度です。
ローパフォーマーに対しては、仕事を与えて、会社が徹底的に支援することが大事です。例えば、なぜ成果が上がらないのか、原因を明らかにして、どのように行動したら良いかを具体的に設定します。
いつまでに、何をどのようにしなければならないか、期限を区切って提示するのです。その結果、これだけ会社が支援しても、改善できないという事実がなければ契約を解消することはできません。
つまり、改善チャンスを与えたにもかかわらず、改善できないという状況が必要なのです。チャンスを与える程度は、企業規模、職務内容などによって変わってきます。ローパフォーマーであってもなくても、改善できるか否かは社員次第です。
逆転できるかどうかは、その社員に掛かっているのです。