第54話 社長メディアの重要性とは?

 「不審者が来社して、社員と接触するのは困る」

 このようなご相談を受けたことがありました。お話をよく伺うと、不審者というのは元社員でした。この元社員が曲者です。この会社に入る前は、反社会的勢力とのかかわり合いがあった人物ということが分かったからです。

 もちろん、多くの社員は、その事実を知りません。このような状況で、元社員は、社長の留守を見計らって、たびたび社員と接触していたのです。社長は、これを止めさせたいのですが、元社員を刺激することで報復されることを恐れていたのです。

 確かに、反社会的勢力からの報復は怖いでしょう。しかし、そうであるならなおさら警察との連携を強化すべきだと考えます。連携を強めることが、社員を守ることにつながるのです。

 ここで大事なことは、会社としてのスタンスを打ち出すことではないでしょうか。つまり、反社会勢力を拒むということを社内外に宣言するということです。

 いわゆる、反社会勢力を「利用しない」「恐れない」「金を出さない」という態度を明確にするのです。社員が知らずに元社員と接触したとしても、会社は反社会的勢力とのかかわり合いを問われ、仕事を失ってしまう可能性もあります。

 前述のケースですと、元社員であろうと、反社会的勢力なのですから、社員に近づけないことが大事です。そのためには、社員に、元社員の正体、接触してきた場合の対処法などを伝えなければなりません。そうすることで、社員の行動も明確になります。

 例えば、元社員が会社の施設に立ち入ろうとした場合、社員はそれを阻止できるようになります。訪問者を入れる入れないは、会社が決めれば良いことです。家庭においても、セールスマンなどは断りますよね。それと同じです。

 阻止しても元社員が入って来ようとしたら、警告を発して、警察に通報する手順を教えておきましょう。元社員の素性が分かっていながら、接触を続ける社員がいれば懲戒することもできます。

 暴力団対策法や自治体の暴力団排除条例を後ろ盾に、会社が宣言することで社員からも頼りにされることでしょう。これを契機にして、社員との信頼関係を深めることができます。

 どのような時も、社長の発信力が問われます。したがって、社長が、自らの考え方を発信するメディアを持つことが大事なのです。

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