第49話 社員の行動を改善するためにすべきこととは?

 「権利を主張する社員が増えて困った」

 先日、ご相談いただいた社長は、年次有給休暇を取得する社員が多くて頭を抱えていらっしゃいました。

 この会社では年次有給休暇の基準日が迫っていることもあって、それこそ使わなければ損とばかりに消化しているようです。年次有給休暇には、時効がありますからね。

 しかも、使っているのはパートタイムで働く社員ばかりとのこと。逆に、フルタイムで働く社員は、殆ど使っていません。このことがあってから、この二つの雇用形態で反目が続いています。同じ職場で働いていますから、この状況は仕事にも影響を及ぼします。

 ここで浮彫になったのは、フルタイマーは、少なくともパートタイマーよりも会社への忠誠心と責任感があるということでした。これは、ある意味、会社が責任感を植えつけてきたことが奏功したと言えます。

 逆にパートタイマーは、利己的で打算的な行動が目立ちました。こちらは、会社が積極的に働きかけを行ってこなかったツケが回ってきたということでしょう。

 誰しも、損得勘定が働くものです。しかし、会社は、できるだけ、そうならないようにコントロールしなければなりません。この事例の会社では、社員が皆、パートタイマーと同じ行動を取ったら機能不全に陥ってしまいます。

 そうならないためには、フルタイマーと同じように責任感を持てるようにしてやることが必要です。ただし、多くのパートタイマーは、金銭がモチベーションになっています。金銭は、てこ入れしたとしても、効果は長く続きませんし、会社も維持できないでしょう。

 そこで必要なのが、一人ひとりが「自分たちの会社だ」と思えることだったり、「自分がやった仕事だ」という満足感を得られるようにすることです。そのためには、パートタイマーであっても、自分で判断したり、決めたりする権限を下ろしてやることです。そのうえで、いかに貢献したかを上司や同僚が認めてやると、社員が自発的に行動できる土壌ができます。

 例えば、通販の会社で、どの社員が商品を梱包したのか、担当者の名前を出して顧客に分かるようにしています。これも、やりがいを感じられる方法の一つです。他にも、蕎麦屋がそば打ちを外部の目に触れさせるのは、評判が掛かっていますから責任感を育むことができるでしょう。

 このように、社員の行動は”会社の仕組みづくり”をすることで改善できるようになるのです。

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