第48話 なぜ社員目線が必要なのか?
「企業の目的として有効な定義は一つしかない。すなわち、顧客の創造である」
これは、ドラッカーが『現代の経営』で述べている企業の目的です。どの会社も、顧客を創ることに力を注いでいます。特に、顧客が何を考えているのか、どんなことに関心があるのかという、顧客目線になることが大事です。
このことは、どの経営者も分かっていて、日々実践しています。例えば、ブログを活用したり、ニュースレターを発行して、関係性をより深める取り組みをされているのではないでしょうか。
このように、外部へ発信することは、売上にもつながることですから、実践しやすいのかもしれません。ところが、内へ向けて発信することは、外へ向けてのそれよりも、注力していないように感じます。
つまり、社内へ向けて関係性を強化する取り組みが出来ていないように見受けられます。例えば、朝礼などで社員に向けて「売上目標を達成するようにがんばろう」と鼓舞することがあるでしょう。
しかし、これでは会社目線の表現になってしまっています。つまり、社員は自分のこととして受け止めにくいということです。
表現の仕方で、伝わり方が違ってきますから、結果も変わってくるでしょう。より心に響かせるためには、社員目線を失わないことが大事です。顧客に対する顧客目線は意識できても、社員に対して同じようにできている経営者は少ないです。
何のために顧客目線で発信するのか。
その答えの一つに、会社のファンになってもらう、商品を好きになってもらうということがあります。これは、社員に対しても同じです。決して社員に媚びへつらうということではありません。
社員に社長のファンになってもらうこと、会社のファンになってもらうことが狙いなのです。つまり、社長の味方を増やすということです。社長の味方が増えるということは、社長の考え方を理解できる社員を増やすことにつながります。
そうすれば、少々問題がある場合でも、大きなトラブルに発展しにくくなります。なので、社長は社内に向けて発信できるメディアを持つべきです。そのメディアから発信する時、常に社員目線を意識してください。
社員が、自分のこととして捉えられるような表現に変換することです。人は、強制されることを嫌います。顧客を育てるのと同じように、社員を社長のファンに育てましょう。