第46話 労働時間をコントロールする必要性とは?

 「残業代がかさんで仕方ない」

 かといって、サービス残業をさせるわけには行きませんよね。このような悩みをお持ちの会社は、労働時間が適正に管理されているか見直してみることをお勧めします。

 管理がルーズだと、ムダな残業を放置してしまうことになってしまいます。例えば、「同僚が残っているので帰りづらい」とか「予定がないので仕事でもするか」など、残業をしなくてもいいのに残っている場合があります。

 残業は、本来の賃金にプラスして割増賃金が発生します。したがって、割増賃金に見合うだけの働きがないと会社はペイできません。

 本来、労働契約は限られた時間内に成果を出すという約束ですから、社員にもコスト意識は持っていてもらいたいものです。例えば、「自分の時間単金は、いくらだから、このくらいの成果を出さないといけないな」ということを意識するだけで違ってきます。

 もう一つ、残業は命令だという認識を持たせることが必要です。この認識があれば、「帰りづらいから」とか「取りあえず仕事をする」ということを防止できます。そもそも社員には、「働かせてくれ」という権利がないことを覚えておきましょう。

 このことを前提にすれば、残業を許可制にするのも一法です。これは、残業をするには、社員が事前に申告して上司の承認を得ることをルール化するということです。したがって、承認を得ずに行われた残業は、労働時間と認められないことになります。

 このように、残業を黙認せず、会社がコントロールできる体制づくりが必要です。そこで、許可制が運用できるようになれば、申告が実際の労働時間と合っているか、上司が適正に承認しているかの調査を行います。

 しかし、殆どの会社が、この調査を行っていません。申告上は、承認の体裁を取ってはいても実態が伴わない場合があります。すると、退職するときに未払残業を請求されてしまう原因になりかねません。したがって、定期的な調査が必要になります。

 現代は、労働時間を削減しなければ、どのような施策を打ってもムダだと言われています。それは、労働時間が多いと労災になりやすいことが分かっているからです。

 労災というのは、仕事中のケガや病気ですから、会社に責任があることになります。なお、労災には慰謝料が含まれていませんから、社員には民事訴訟を起こして慰謝料を請求する道が残されているのです。

 実際には、客先の都合もあって労働時間を削減することは難しいかもしれません。でも、会社の責任の重さを考えれば、あらゆる業種で労働時間を削減するための工夫が求められているのです。

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