第44話 会社が大切にしていることを伝えるには?

 「社長から給料をもらっています」

 これは、社長が社員にした質問の答えです。当然、社長は「お客さまから」という答えを聞けるものと思っていました。このような質問の答えに窮する社員はいるものです。

 確かに、直接的には会社から給料が支払われていますから、中小企業なら社長からもらっているのと同じことです。ところが、会社の売上が立たなければ、いつか給料も滞ってしまうでしょう。このことを想起できなければ、顧客視点で考えることは難しいのではないでしょうか。

 それは、例えば、売上などの成果につながらないことを意味します。ドラッカーも言っています。「企業にとって大切なのは顧客第一主義だ」と。

 顧客があるから会社が成り立っているのは、どこも同じでしょう。他にも、大切にしているものがあるハズです。

 多くの場合、それは社長の思いに宿っているのではないでしょうか。この思いが、伝わっていれば、少なくとも冒頭の社員の答えは違っていたでしょう。

 では、いつ伝えたら良いのでしょうか。

 それは、採用の時です。この時点で社長の思いを伝えておかないと、教育しても伸びないことがあります。だから、最初にトップのメッセージを発信することが必要不可欠なのです。

 行動のベースとなるのは、”会社が大切にしていること”です。これを社員全員で共有していくことです。

 会社は、多種多様な人が集まって仕事をしています。当然、価値観は、一人ひとり違いますから、衝突は避けようがありません。

 また、価値観が同じであれば、自ずと考え方も似通ったものになってしまうでしょう。それでは、イノベーションは起こせません。

 価値観の違いから混乱が起きた場合、”会社が大切にしていること”が明らかになってさえいれば、「一人ひとりの考えは違うが、目指すところは同じ」と思えるのです。

 このような組織風土を作っておかなければなりません。

 それには、「我々は何者なのか、そしてどこへ行こうとしているのか、そのために何を大切にし、どのように行動するのか」を言語化しておく必要があります。ただ、何となく思っているというのでは、社員に伝わりません。

 社員の能力を最大限に生かしたいのなら、”会社が大切にしていること”を浸透させる必要があります。浸透すれば、仕事で問題にぶつかった場合でも、会社の原点に立ち返って考えることができます。

 あなたは、”会社が大切にしていること”を発信し続けていますか。

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