第39話 社員は職場をどう見ているのか?
「職場に何らかの違法状態があるとの認識が3割」
連合総研が行った調査が、勤労者短観として公表されました。特徴としては、業種による差異は殆ど認められないものの、規模が小さい会社ほど認識の程度が高くなっています。
最も認識している違法状態は、「支払われるべき残業代が支払われていない」というものでした。以下、「有給休暇が取れない」「労災を健康保険で処理させられた」「雇用保険や社会保険に加入できない」と続きます。
今や、法律違反かどうかは、ネットで調べれば誰でも分かる時代になりました。社長よりも社員の方が詳しいくらいです。
もう一つ、気になる調査結果が出ています。それは、職場の違法状態に対する社員の対応です。
自分が違法状態を経験した場合に、何らかの行動を起こすと回答した人が44.6%に上りました。具体的には、多い順に「職場の上司や経営者に話す」「職場の同僚に相談する」「労働基準監督署に申し立てる」となっています。
上位二つの行動については、社内で解決しようというアプローチですので、会社側もこの機会を活用したいものです。
三つ目の労働基準監督署へ申し立てられるというのは、会社にとって弊害があります。
最初に、臨検で監督官が介入して是正指導するパターンが一般的であると考えられます。残業代が支払われていない場合は、賃金の時効が2年ありますから、それを踏まえて指導されます。
2年間分を支払ったら大変な金額になりますから、会社が持ちませんよね。監督官の言うとおり支払えばいいのでしょうが、難しい場合は監督官と交渉することになるでしょう。
一度、監督官に入られれば、是正結果を踏まえて、また入られることになります。そのようなことがないように、違法状態を社内に通報できる仕組みを作ることが大事です。つまり、いきなり労働基準監督署へ申し立てるという行動を起こすのではなく、まず内部通報ありきのルールを作るということになります。
このようなルールが機能すれば、合同労組、弁護士といった社外の第三者へ相談するという流れを断ち切ることができます。社外の第三者への相談を通して、紛争に至るケースはままあります。
一方で、自分が違法状態を経験したとしても何も行動しない人もいます。勤労者短観では32.1%いるとしています。内訳は、黙って会社を辞める人と、黙って会社に居続ける人です。彼らの存在も覚えておきましょう。
普段のコミュニケーションの質が問われます。