第36話 会社が、まず持つべきものとは?

 「社会貢献をお題目に掲げれば、いい人が採れるのではないか」

 社員を採用する場面で、このようなご相談を受ける場合があります。確かに、社会貢献を志向する会社の方が、世の中のために役立っているような気がします。加えて、社会貢献に価値を見出す人も増えています。

 しかし、それでは人は動きません。会社の価値観に共感して、会社と一緒に歩みたい、仲間に加わりたいと思わせることが重要です。でないと、ミスマッチが起こって早晩トラブルになるでしょう。

 「こんなハズではなかった」「いい人だと思ったのに…」。トラブルになってから、このように思われたことはなかったでしょうか。

 原因の一つとして、例えば、会社が猫の手も借りたいほど忙しければ、誰を入れても構わないと思いがちです。また、応募してくる人も生活が懸かっています。働くことでしか食べていく道はないのです。ですから、単に働ければ良いとか、入れれば良いとか、このように考えたとしてもおかしくはありません。

 だからこそ、会社の価値観を明らかにして、どのような使命を帯びているのかを、ビジョンを通じて見せなければなりません。ビジョンで将来を見せるのが、社長の仕事です。つまり、採用の時から、社長の思いを伝えることが重要です。あなたは、きちんと思いを伝えていますか?

 多くの会社では、そこに注力していません。なので、会社の持つ使命や価値観が明文化できていなかったり、明文化してあったとしても弱かったりします。その場合は、再構築すれば良いのです。

 会社として、経営資源の一つであるヒトを活用するために、まず持つべきものが使命や価値観です。これらは、社員の心の拠り所になります。仕事をしていて迷ったり、困ったら、使命や価値観に戻って判断する。だから、会社の基軸たり得るのです。逆に言えば、社員は使命や価値観に支配されていることになります。

 人は、それぞれ多様な価値観を持っています。多様な価値観の人たちが集まっているのが会社です。それでも、価値観に共感してさえいれば、会社と同じ方向に進むことは可能です。

 共感できなかったり、共感したフリをしていたりすれば、どこで歪がくるものです。会社の価値観に共感できない人は、最初から入れないことです。

 価値観ほど強力なものはありませんから、使わない手はないですよね。

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