第35話 メンタルヘルス対策は何が重要なのか?

 「300万人を超える人が病院にかかっています」

 これは、精神疾患の患者数のことです。厚生労働省が3年おきに発表している精神疾患の患者数は、平成17年に初めて300万人を超え、平成23年は320万人となっています。

 精神疾患の内訳は、うつ病や統合失調症ですが、中でもうつ病は著しく増加しています。加えて、うつ病は、自殺に関連することが多いと言われている病気です。しかし、実際には治療を受けていない人もたくさんいます。ですから、潜在患者数というのは、統計データよりも多いと考えなければなりません。

 仕事をさせることで、健康を害してしまう。これが、今、経営者の最大の悩みではないでしょうか。いわゆるメンタルヘルス問題ですね。

 この対策をするために、重要なのが労働時間管理です。最も重要だと言っても過言ではありません。長時間労働があると、疲れ過ぎて健康を害してしまうことがあります。その結果、労災と認められやすくなってしまいます。したがって、残業時間をいかに削減するかを考えることになります。

 そこで、まずは実際の労働時間を把握することから始めましょう。例えば、自己申告制を採用している場合は、社員の申告してくる労働時間をうのみにしない方がいいです。大抵、隠れた労働時間があります。倍くらいあると見積もってもいいかもしれません。

 要は、実際の労働時間と申告された労働時間が合っているかの調査をすることが重要です。このことは、殆どの会社がやれていません。やれていないとどうなるかというと、トラブルになった時に会社が把握していない多額の請求をされてしまいます。このように、労働時間を正確に把握できていないと、対策を打てないどころかリスクが増えるばかりです。

 労働時間の把握ができたら、どうしたら削減できるかを検討することになります。そうはいっても、お客さんがあることですから、簡単には削減することはできないでしょう。

 でも、労働時間の削減につながらないと何をやってもダメです。例えば、ある会社は、うつ病になった社員から訴えられましたが、かなり気を遣った措置を取ったにもかかわらず負けてしまいました。

 具体的には、仕事がない時には早く帰るように指導したり、産業医の面談を受けさせたり、配置替えの提案までしています。それでも、長時間労働が行われていました。

 要は、正確な労働時間の把握と残業時間の削減を行うことで、社員の意識を変えることがメンタルヘルス対策として重要なのです。

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