第33話 社内コミュニケーションに求められることとは?

 「職場の人間関係の問題」が41.3%。

 これは、労働者に、仕事や職業生活に関するストレスの内容を尋ねた最近の調査で最も多かった回答です。次いで、「仕事の質の問題」(33.1%)、「仕事の量の問題」(30.3%)の順になっています。

 この調査は、厚生労働省が5年に一回実施しているもので、ご紹介した上位三つは平成19年の前回調査と同じ順位でした。また、就業形態別の集計でも、正社員とパートタイマーで「職場の人間関係の問題」が最も多く、特にパートタイマーで突出しています。さらに、契約社員と派遣社員でも、二番目に多いのが「職場の人間関係の問題」なのです。

 このことを理解しておくことは、職場でのコミュニケーションを取るうえで重要です。

 かつて、電通事件により長時間労働、つまり仕事の量がクローズアップされた感は否めません。ところが、働く人たちにとっては、職場の人間関係、特に上司と部下の関係が一番のストレスになっているという事実があります。

 近年の労働相談において、いじめや嫌がらせといったハラスメントの増加が、それを象徴しているのかもしれません。別の見方をすれば、職場の人間関係の問題は、社内である程度コントロールすることが可能です。

 例えば、良いリーダーを育成し、そのリーダーを中心にコミュニケーションを深めることで解決できることもあります。

 コミュニケーションは、単にその数を増やせば良いというものではありません。質が大事なのです。しかし、質を確保するのは難しいです。

 例えば、うだつの上がらない部下に対して、改善プログラムを実施するとしましょう。今まで成果が出ていない人に対して、いかに理解させて成果を出させるかということですから、部下に的確に伝わらなければ話になりません。

 少し考えてみてください。できる部下を育成するよりも、はるかに高い質のコミュニケーションが要求されることがわかると思います。ここは、いかにムダをそぎ落として、部下の腹に落とせるかにかかっています。いったん腹に落ちて、結果が出ればやる気になります。少しの成功をいくつも重ねれば、勝ち癖もついて自信にもなるでしょう。

 逆に、失敗すれば成績が悪化するばかりか、マイナスの感情を持たれてしまいます。そのまま会社に居続けられなければ辞めてもらうことになりますが、その時にマイナスの感情が強いとトラブルになる可能性が出てきます。したがって、リーダーの育成は急務なのです。

 これに対し、仕事の質と量の問題は、社内だけで解決できないという側面があります。「仕事の質」に関してはクレームの問題がありますし、「仕事の量」に関しては客先の要望も含まれています。なので、外部からいかに社員を守っていくのかを検討する必要があります。

 社員がストレスに感じる上位三つの問題を同時に対策することが有効です。

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