第31話 採用で工夫すべきこととは?

 「いい人を採りたい」

 よく経営者の方がおっしゃいます。

 雇用の全ステージの中で、採用ほど不確実性が高いものはないでしょう。どのような性格で、どのような能力を持っているかなど、殆ど分かりません。つまり、相手を信頼できない状態です。このことから、採用の悩みは会社にとって、海よりも深いテーマと言えますね。

 確かに、採用というと「悪い人」よりも「いい人」のイメージが強いです。ところが、いい人に着目していても、採用を成功させることはできません。

 理由の一つとして、いい人の定義が曖昧だからです。当然、会社毎に、いい人の定義は異なります。いい人とは、「真面目な人」でしょうか「仕事ができる人」でしょうか、それとも「声が大きい人」でしょうか。これでも抽象的でよく分からないのですが、定義をしていたら、まだいい方です。

 多くの場合、いい人の定義すらできていないのではないでしょうか。とすれば、採用時に、いい人を見極めるのは至難の業です。採用担当者に値踏みされる応募者も、いい人を装って何とか滑り込みたいと思うでしょう。忙しいので誰でもいいから採りたい採用担当者と、どこでもいいから入りたい応募者の思惑が合致すればミスマッチは避けられません。

 巷には、表情で見分ける方法や適性検査による方法等を紹介する書籍などの情報が氾濫しています。仮に、そのような技術が、いい人を採るために有効だとしても短時間で取得することは難しいでしょう。それよりも、経営者として他にやるべきことがあるハズです。

 また、技術に頼り過ぎると、本当に採るべき人を逃してしまう機会損失が起こるかもしれません。そこで、180°発想を変えてみることをお薦めします。つまり、後々、トラブルになるような人は絶対に採らないということです。これなら、いい人よりも、はるかに見極めやすいです。

 例えば、職歴について尋ねる場合を考えてみましょう。この時、アルバイトも含めて全ての職歴について聞いているでしょうか。人には、言いたくない過去だってあります。

 それが、前職を解雇されたとか、うつ病などで療養していたとかなら、知られたくはないでしょう。これらが原因で、職歴飛ばしやうその申告をしてしまうことも考えられます。俗に「一身上の都合」という退職理由は、カモフラージュ可能な書き方ですよね。

 とはいえ、うそをつかれたとしても、スグには分からないものです。でも、聞いて証拠を残しておけば、うそがバレた時に会社が有利なポジショニングを取ることができます。

 このように、ほんの少しの工夫で会社をトラブルから守ることができるようになります。

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