第29話 思いを業績に反映するには?

 「社員が思いどおりに動いてくれない」

 このような悩みを抱えている会社では、社員も一体感を感じていないことが少なくありません。つまり、社員の側も、どのように行動していいのかが分からないのです。したがって、行動がバラバラになってしまって、第三者からみても一貫性がないのです。そうなると、世間は信用してくれなくなってしまいます。

 そこで、一度、経営理念を見直してみることをお勧めします。経営理念というのは、次のような階層構造になっています。

 「使命」「ビジョン」「価値観」「行動指針」。

 最上位の概念である「使命」は、会社は何のために存在しているのかという存在意義を表します。例えば「新しい社会のパラダイムを洞察し、その実現を担う(㈱野村総合研究所)」というように表現します。

 「ビジョン」は、会社がどこに行こうとしているのかを見せることです。これは、会社がどこを目指しているかを示す、いわば経営の約束事と言えるでしょう。例えば「優れた価値を提供し社会に貢献する(森永乳業㈱)」というように表現します。

 「価値観」は、会社が何を大切にしているか、共有すべき価値基準です。例えば「誠実さ、リーダーシップ、オーナーシップ、勝利への情熱、信頼(P&G㈱)」というように表現します。

 最下位の概念である「行動指針」は、言葉どおりどのように行動するかということです。つまり、社員が持つべき心構えや行動のあり方です。例えば「安全こそ経営の基盤、守り続けます(ANAホールディングス㈱)」というように表現します。

 これらは、どのような規模の会社でも持っているハズです。明文化していないこともあるでしょう。それでも悪くはないのですが、社員が腹落ちしているかが疑問です。

 経営理念については、様々な研究がなされていますが、業績との正の相関を認めたものが多いです。その前提として、経営理念を社員が理解していることが指摘されています。逆に言えば、社長が大切にしている思いを伝えて、理解されることで業績が伸びるということです。そのためには「見える化」が必要になってきます。

 やはり、明文化が必要ですね。明文化して、一人ひとりの行動に結びつけることが大事です。その結果が、業績に反映するのです。

 ところが、わかっていることと、それを行動に移せることは別問題です。このことは、第27話でもお伝えしました。http://goo.gl/7Xcm3Q

 経営理念を行動に移せるようになるためには、腹に落ちるまで反復する必要があります。これには、少なからず社員の能動的な努力も求められます。ただし、いくら優秀な社員でも、身に付けようとする自発性に依存することはリスクがあります。

 そこで、会社は例えばミーティングなど、反復できる機会を設けて経営理念の読み合わせや確認を日常的に行うと良いでしょう。ここは、会社毎に、それぞれのスタイルを探すところです。

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
03-3554-3666

受付時間:9:00~17:00
定休日:土日祝祭日