第28話 共通語のすすめ

 「どう判断して良いか分からない」

 仕事をしていると難しい判断を強いられることがあります。そのような局面で、社員一人ひとりが全く違う判断をしたとしたらどうでしょう。第三者が、奇異の念を抱くに違いありません。

 これでは、会社の行動は一貫性を欠くこととなり、世間の信用を損ねてしまいます。例えば、うそをつく時にだって、話の状況や設定に矛盾があれば、一貫性が損なわれ、即座にバレてしまいます。一貫性がないということは、たとえうそであったとしても、裏表があるように思われて信用されないのです。逆に、うそに一貫性があれば、真実よりも信じられてしまいます。

 社員個人が下した判断であっても、会社の判断と取られてしまうのが世の常です。しかし、会社は、多様な性格、多様な考え方を持つ社員で成り立っています。言い換えれば、多様性があるからこそ、イノベーションを起こして会社が進化していけるのです。

 一方で、多様性が邪魔をして様々な価値観を主張し出すと、会社としての一貫性が保てなくなってしまいます。これを打開するには、普段から会社が立ち戻るべき原点を社員が共有しておくことが大事です。具体的には、経営理念を明らかにして、それを達成するために実践しなければならないことを社員の腹に落とさないといけないのです。

 つまり、社内の共通語を作るということと等しいのです。例えば、異国間で話をする場合、同じ言語で話す人たちだけが集まって、その中だけで分かる話をしていると、取り残された人たちは何も分からずじまいです。となれば、異文化の違いも理解できないでしょう。これでは、人間関係を深めることはできませんよね。

 このように考えると、会社の原点、すなわち社員の心のよりどころを共通認識として持っておくことが経営上、重要であることが分かります。また、社員が共通認識を持って、それに伴う行動ができれば、組織としての一体感と一貫性を訴求しやすくなります。それには、共通認識をコミュニケーションの一つの手段として位置づけることで浸透しやすくなるのです。つまり、社員同士が、日々、共通認識について語り合う機会を増やすことです。

 いつも目にする、誰の目にも触れるようなカタチにして、それを題材に議論すれば、難しい局面を迎えた時でもブレない判断ができるようになります。ぜひ、会社の”共通語”を作ってみてください。

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