第27話 育成するための条件とは?

 「ロボット掃除機型」「奇跡の一本松型」「はやぶさ型」

 これ、何だかわかりますか?

 毎年、春先に日本生産性本部が発表している新入社員のタイプを表したネーミングです。こうしたネーミングの一覧を見てみると、はやりなど、その時世を反映していて、思わず膝を打ってしまいます。

 このように、毎年、注目を浴びて入ってくる新社会人には、どの会社も研修プログラムとしての新入社員教育を熱心に行っているようです。人材コンサルティングのディスコが実施した「社員研修に関するアンケート」によると、実に95.5%の会社で実施されています。しかし、内容については「マナー教育」「リーダーシップ教育」の実施率が高く、「語学教育」「経営理念・DNAの継承」の実施率が低くなっています。実施率の低いプログラムは、ニーズも低い傾向にあります。

 確かに、マナー教育やリーダーシップ教育は必要です。しかし、いの一番で行うべきは、会社のルールについての教育であると考えています。我が社のルールは、サッカーなのか、ラグビーなのか。「サッカーのルールだから、手でボールを持ったらダメなんだよ」と教えるべきです。

 会社のルール=約束ですから、約束を知らずして守れるはずがありません。約束が守られなければ、組織として機能しないばかりか生産性も落ちてしまいます。

 約束の中には、経営理念やDNAが行動指針として入っていなければなりません。仕事上の問題を解決するために、何を基準に考えるのか。社員全員が、その原点ともいうべき経営理念を分かっていなければ判断がバラバラになってしまいます。これでは、一体感が出ません。

 また、分かっていればいいのかというと、それでは不十分です。分かっているのと、行動できるのとでは雲泥の差があります。以前、ご相談があった社長は、社員の挨拶ができていないことに頭を抱えていらっしゃいました。普段、挨拶を交わすことで、相手や周囲の人たちにエネルギーを与えていることも少なくありません。そのような効用もある挨拶が大事だということは、小学生でも知っています。当然、社会人なら知っているはずです。ところが、行動に移せないのです。

 このように、知っていることと、行動できることとは違うのです。なので、繰り返し何度でも、ルールを確認することが大事なのです。

 アンケートでは、経営人材の育成にも触れていて「計画的に育成しても意味はない」は4.9%にとどまり、何らかの育成方法が必要であるという考えが大勢を占めています。労務管理のポイントは、つまるところ「仕事を通して育成する」ことだと考えています。その前提となるのが会社のルールの浸透です。

 あなたの会社では、どのような育成計画をお考えですか。

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