第24話 将来の投資にふさわしい人とは?

 「優秀な人が欲しい」

 どんな人を採用したいか尋ねると、殆どの経営者がこのようにおっしゃいます。でも、単に優秀というのでは漠然としています。これでは、何をもって優秀なのかが、よく理解できません。よく分からないのは、応募者にとっても同じことです。「優秀」という言葉が抽象的で伝わらないのです。その結果、会社が意図した人を集められず、いわゆる優秀でない人ばかりが集まってしまった、ということが起こります。そうなると、応募に掛けた費用、面接に掛けた時間と人件費などが吹っ飛んでしまいます。

 このような事態を避けるためには、採用したい人物像を具体的に書き出してみることです。具体的にするほど、人物像が絞られてきます。それを見た応募者は、ひょっとすると「自分のことかな」と思うかもしれません。そうなれば、会社が優秀であると考える人物像に近い人の応募が増えるでしょう。

 次に問題となるのは、誰を採るかということです。

 終身雇用制度や年功序列制度が鳴りをひそめてしまった今では、一つの会社で身を粉にして働くという人は皆無です。とはいえ、会社としては、訓練をして、何年か後には成果をもたらしてもらわなければ困ります。つまり、会社にとって、採用は将来への投資です。なので、採用する時には、その人が本当に会社の役に立つのかどうかは分かりません。それどころか、会社に損失をもたらすかもしれないのです。何の保証もありません。

 では、どうすれば良いのでしょうか。

 それは、採ってはいけない人を採用しないことです。つまり、将来、問題を起こすような人を採用時に見極めるということです。

 見極める一つの指標として、会社の価値観が重要になります。価値観は会社の原点です。なので、まずは共感できることが条件となります。価値観を受け入れることができなければ、どんなに能力が高く、仕事ができる人でも入れるべきではありません。結果を出していれば「何をしても自由だ」ということにはならないですよね。会社は、協働の場でもありますから、歩調を乱す人がいると秩序が保てなくなってしまい、生産性も落ちてしまいます。

 まず、会社の価値観を伝え、それをどう解釈するのか、どのような価値観を持っているのか等を徹底的に調べます。ここに会社の工夫する余地があるのです。能力は、訓練によって高められますが、価値観のズレを修正することは至難の業です。

 どういう人を採るかが、将来の無用なトラブルリスクを回避することにつながります。

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