第21話 接触機会を早く作るメリットとは?

 「会社以外の人と過ごしたい」

 新入社員が、このように思っているとしたらどうでしょうか。

 これについてマイナビが、今年の4月入社の新入社員を対象に3か月後に行った調査で、アフター5の過ごし方について聞いています。それによると、前述の回答と「なるべく会社以外の人と過ごしたい」を合わせた84%が、会社の人と過ごしたくないと回答しています。

 4月の調査と比較すると10ポイントの上昇、前年同月比でも0.3ポイント増えています。ますます「会社以外の人と過ごしたい」傾向にあるわけです。この傾向は、社会人として3か月の経験だけなので何とも言えませんが、社内コミュニケーションの不足が一因として考えられます。これは、集合訓練など配置の仕方にもよることですが、上司の影響力が浸透していないことの表れです。

 新入社員に限らず社員は、上司、社長、同僚および他の部署の社員といった社内の人たちから影響を受けることになります。なかでも、自分の上位に当たる上司は直接的な影響を及ぼしやすい存在です。

 理由として、社長は会社におけるトップで物理的な距離が遠く、同僚は接触が多いけれども溝ができれば遠い存在となり得るし、他の部署の社員とは対立関係にあることも少なくないからです。つまり、社長と自分との距離をどう感じるかで違ってくるし、同様に、同僚もどの範囲まで同僚と捉えるかによって影響が異なり、他の部署の社員は外部集団と分類してしまいがちです。この点、上司とは指揮命令関係にあることから影響を受けやすいと言えます。ただし、仲間であるという認識を持てない上司では「認めたくない」という負の影響力が増すことになります。

 このことを、理念の浸透との関係性から研究したデータがあります。それによると、上司の存在は部下の理念浸透と正の関係にあるとされています。すなわち、上司が日々、理念を実践していれば、部下も同じ行動を取ろうとすることが予想できます。

 会社の理念を末端まで伝えることは、極めて難しいものです。しかし、上司が中心となって、理念を積極的に語るコミュニケーションの場を設けることは会社にとっても有意義だと考えます。

 今回の調査の入社後3か月というのは、会社でうまくやって行けるか判断する一つの区切りの期間ですが、社内コミュニケーションを構築するという点では短いのかもしれません。とはいえ、早く構築できた方が有利ですね。

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