第7話 上司に求められる仕事とは?

 「今年度は、イチローと天海祐希」

 ご存じの方もいらっしゃると思いますが、産業能率大学が毎年行っている新入社員の理想の上司です。理想の上司として名前を挙げた理由で最も多かったのは「適切なアドバイスをしてくれそう」でした。この他、「人柄がよく親しみやすそう」「態度や姿勢が手本になりそう」が続きます。ここから、新入社員の意識が垣間見えてきます。イチローは3年ぶり3回目、天海祐希は4年連続トップとのこと。かつてのトップには、イチローと同じプロ野球で、野村克也、星野仙一、古田敦也が名を連ねています。時の経過とともに、新入社員の意識も変わっていくのでしょう。

 一方、上司は、自分が理想とされるかされないかは別として、社員を意識づけなければなりません。例えば、情報漏えい。会社の技術ノウハウや顧客情報の漏えいは、会社の信用を落としかねません。日本経済新聞社の調査によると、この対策として最も多かったのが「社員教育」の69%でした。入退出やコンピュータアクセスの制限等も大事ですが、約7割の企業が社員教育を重視していることがわかります。

 そこで上司は教育によって、「会社が何を秘密としているのか」「社員が扱う秘密にどんな価値があるのか」「なぜ秘密を保持することが重要なのか」を意識させることになります。もちろん、秘密にアクセスできる権限がある社員だけではなく、新入社員も含めた全社員について教育し、普及させていくことが大事です。まず、入社時に秘密の範囲について誓約書で合意し、契約内容にします。つまり、社員が働く時の権利と義務を明らかにして約束します。当然ながら、約束した内容が、わからないと守ることはできません。そこで、約束を守らせるためにも十分な教育が不可欠となるのです。

 不祥事が起こってから頭を下げても遅いのです。この場合、今までやってきた教育に費やした時間が水泡に帰すことになります。そうなれば、社員教育をやり直さなくてはなりません。これを繰り返してしまうと会社の業績が悪くなってしまいます。このような事態を回避するためにも、上司から部下への意識づけがポイントになります。それは、経営者よりも物理的な距離が近い上司の影響力で、いいにつけ、悪いにつけ部下は左右されるからです。つまり、部下は上司の影響を受けやすいということです。だから、「理想の上司」の調査があるのかもしれませんね。

 上司のみなさん、がんばってください!

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