第9話 受容することのメリットとは?

 「えーっ、今まで君はそんな風にしか考えていなかったのか」

 社員とコミュニケーションを取っていると意に反した答えが返ってくることがあります。それも、昨日、今日、入った新人ならわかります。しかし、そうではなく何年も同じ釜のめしを食ってきた、右腕と頼む幹部や部下といった人に思ってもみないことを言われたりします。例えば、繁忙になるので手を貸して欲しいと頼んだら、休暇は当然の権利だからと主張してサッサと休んでしまう。こうした場面では、苦楽をともにしてきた仲間の言葉だと思うと耳を疑いたくなるものです。少なくとも彼らは、自分のことを理解してくれていて、会社の考え方や方針も良くわかっているハズでした。このように、コミュニケーションを取ることによって意見の違いが鮮明になることがあります。

 近しい相手であっても例外ではありません。例えば、配偶者や両親、兄弟、恋人など、いわゆる身内と呼べる人たち。彼らが、自分とは真逆の意見を口にすることがあります。それに対して、ひどく落胆したり、裏切られたという気持ちから腹立たしくてならないというご経験はありませんか。近しいからこそ、もめやすいという原因の一つは、ここにあります。いくら近しい間柄であったとしても、親しい仲間であったとしても別人格なのですから考え方は違って当然です。したがって、労務管理をするうえでも、お互いの違いを認識し、それを受け入れる態度が重要になります。

 会社は、多様な人の集合体です。例えば、性別であったり、国籍であったり、雇用形態や契約形態の違いであったり、あらゆる面で違いのある人たちが集まっています。このように、一人ひとりは違っていても、会社として目指すべきは同じという価値観が必要です。同じ価値観を共有していれば、例えば、社内でもめた時でも的確な対応ができるようになります。行動のベースに価値観があるので、どのような行動を取れば良いかを判断することができます。だから、ビジョンが大事なのです。

 ビジョンは、知っているだけでは役に立ちません。単に言葉の存在を知っているのと、行動ができるのは違います。つまり、同じ価値観で行動ができるように末端の社員まで浸透させることが必要になります。一方で、行動できるように浸透させることが難しいのも事実です。そこで、認知させ、理解させ、社員が自ら学ぼうという気にさせなければなりません。日ごろから、個々の違いを受容しつつ、コミュニケーションを取ることが大事なのです。

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