第19話 どの会社も一律なのか?

 「普通、会社に黙ってアルバイトなんてしたら懲戒もんでしょう」

 アルバイトだってピンキリです。確かに、無断でするアルバイトが会社にバレたら「けしからん」と思われる方は多いでしょう。そして、懲戒、すなわち罰を与えるのは当たり前だと思われるでしょう。

 しかし、懲戒できるかとなると話は別です。懲戒は、会社毎の約束だからです。例えば、隣の会社が無許可でしたアルバイトを懲戒にできても、自分の会社でできるとは限りません。つまり、約束していなければ懲戒はできないのです。

 また、懲戒は労働条件の一つです。なので、約束したことを明示しなければなりません。これに違反すれば、会社が刑罰を食らうことになります。したがって、会社が懲戒をしたいと思えば、契約を交わす時に懲戒の種類と程度を明示していなければ刑罰の対象となってしまいます。加えて、就業規則の作成要件にも、懲戒の種類と程度の明示が入っています。このように、懲戒の種類と程度を定めて明示することが基本となります。

 アルバイトについては、もう一つ論点があります。それは労働時間です。

 1日の労働時間は、働く場所が違っても通算されます。したがって、法定されている労働時間を超えて働く場合には割増賃金が必要になります。例えば、Aという会社で6時間、Bという会社で3時間働いた場合は1時間分の割増賃金が発生します。この場合、会社Bに割増賃金の支払義務があります。なので、会社Bはコストを抑えるつもりで短時間のアルバイトを雇ったのに、これではアテが外れた格好になります。

 ところが、労働時間については、こうした割増賃金の他に、もっと重要な問題を含んでいます。例えば、OLが終業後にスナックでアルバイトをして終電で帰ったとしましょう。すると、深夜帯にまで及ぶ労働時間となります。この状態が2、3週間続けば極度の長時間労働となります。このような長時間労働が続けば、うつ病などの精神疾患の発症原因となります。まさに、会社の知らないところで、健康が害されることになります。

 昨今は、健康な人を雇っても働いているうちに健康を害してしまうことが、社長の悩みとなっています。ですから、通算した健康管理を考えると、アルバイトを簡単に認めるべきではないですね。アルバイトは許可制であることを約束することがポイントです。

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